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富士山お鉢周回
 
  富士山お鉢周回

    平成17年8月14日   メンバー:曲渕, 工藤     天気:晴

コースタイム:富士宮口八合目発5:58〜浅間神社奥宮7:06〜剣ヶ峰7:16-8:08  〜白山岳8:30-8:36〜金明水〜久須志岳8:52〜(久須志)浅間神社奥宮9:00-9:05  〜大日岳9:16〜伊豆岳9:22〜成就岳9:28〜銀明水9:35〜駒ヶ岳〜浅間神社奥宮9:37

富士山の地元の山岳関係者として、夏の登山シーズンの土曜、日曜日に登山者の安全指導のためパトロールを実施している。昨年のパトロールでは、パラグライダーでフライトした人が、強風で外回りお鉢巡りのコース上にある雷岩にたたきつけられ重傷を負い、関係者と救助した。今年も、パトロールの役割が回って来た。そこで、新人の同行の仲間に、お鉢登山道の紹介とコース上にある浮石の現状確認のため富士山のお鉢を周回した。

 八合目の診療所に待機を兼ねて一泊し、翌日朝、山頂へと登って行く。この時間帯は、ご来光を見て下山して来る人達が多い。小さい子が、下山して来ると「ご来光見られた」「山頂まで登った」とつい声をかけてしまう。途中座り込んでいる人の様子を見ながら、浅間神社前を通過して、お釜越しに剣ヶ峰を臨む広場に出る。剣ヶ峰にある測候所にドームがない姿になっている。やはり寂しい測候所の姿である。その測候所も来年には撤去される。富士山測候所のドーム、測候所そのものがある姿を見慣れて来た者も、歴史の生き証人になる時代になるのかと思いつつ見上げた。

 馬の背を登り、剣ヶ峰に向かう。測候所前から剣ヶ峰山頂までの間には、山頂に立とうとする人達の順番待ちに列ができていた。我々二人も、順番を待って山頂の御影石の碑の前に立つ。記念写真を撮り、測候所屋根に作られている展望台にのぼり、剣ヶ峰大沢が朝霧高原へと流れ降りていく地形を眺める。

 展望台から降りて、お鉢巡りを始める。お釜側へと砂地の道を下っていく。下りきると、そのまま平坦な道となる「内回り」とお鉢の稜線へもどる「外回り」の道との分岐に出る。今回は、後輩のお鉢巡り道の案内のため、「外回り」のコースを進む。大沢右ルートの合流地、雷岩、七太郎尾根の下り口、そして浮き石が多く一般道から除かれた釈迦の割石の岩場へと向かった。釈迦の割石の稜線上から右に回り込むと、岩場の窪地に、カモシカの死体があった。こんな草木のない富士山山頂で、カモシカの死体がある。不思議なことがあるもんだと驚いた。そこを過ぎ、側壁を登って、白山岳山頂に立つ。今や富士五湖を一点から眺められる「富士五湖山」となった地点である。この山頂から吉田口側へと下りながら、浮き石の現状を確認する。この丘下には、「内回り」の登山道が通ってる。調べてみると、2、3個気になる大きめな石がある。関係者に知らせる必要がありそうだ。内回り道に合流する。同行の曲渕君に聞くと、「金明水」を見たことがないという。そこで、内回り道から一段下った所にある「金明水」の井戸まで足を伸ばす。史跡的碑が立ち、富士登山の歴史を感じる場所となっている。

 内回り道にもどり、平坦な道を進み、右手の久須志岳山頂に立つ。小さな鳥居があり、釜の中にある虎岩を見て、剣ヶ峰が遠望できる。登山道にもどり、すぐに吉田口の浅間神社前や山小屋前を通過して、吉田下山口に出る。お鉢巡りを続け、「富士の八葉(山)」にも登頂しながら歩くことにした。登山道を登り進み、大日岳山頂に向かう。ここで、富士山に関する講話をしている一団体がいた。その人達のザックが、登山道をふさぐように置いてあり、歩くのを邪魔している。小声で、関係者にその点の改善を願う「指導」をした、今回の富士登山の役目でもあるので。

 大日岳に着いてみると、さすが、神仏混合時代は、大日寺が富士山にもあった「大日」の山頂だけあって、ここの鳥居には、色とりどりのリボンと鈴が吊り下がっている。何かにぎやかさを感じる山頂である。そのには、記念写真を撮る人、休憩している人もいる。我々も記念写真を撮って、斜面の浮き石の状態を見ながら先に進み、伊豆岳に登る。ここは、誰もいない山頂である。登山道にもどって歩き進むと、道は平坦となる。どこが山頂か分からない、東の賽の河原に出たる。石積みが山頂を示すだけの成就岳である。右にNTTの建物をみて登山道を進むと、右曲に下り、御殿場口山頂部に着く。そこには、鳥居と木枠のある「銀明水」がある。しかし、そのことを説明する看板はない。せっかくの富士山の「神事」の一つ。次世代に伝えるためにも、説明看板がないのは残念に感じる。

 周回の最後になる駒ヶ岳への登りへと向かう。登山道から少し左にはずれた、駒ヶ岳の東側面に「鏡」を安置してある祠がある。そこを脇に見て、ひと登りで、富士宮口浅間神社前にもどって来た。しかし、剣ヶ峰の手前にある三島岳の山頂には登ってないことに気づき、そのまま神社前を通過して三島岳山頂に向かった。三島岳から、富士宮口山頂部の浅間神社奥宮を背景に、記念写真を撮ってお鉢めぐりを終えた。                            (記 曲渕・工藤)