第3岩稜    昭和57年2月28日
 
  第3岩稜
コースタイム    昭和57年2月28日 (快晴)
大沢休泊所発4:00〜第3岩稜末端発7:50〜お鉢稜線着12:15〜山頂発  12:40〜仏石沢上部〜大沢休泊所着14:10 
メンバー:小林久二彦、石塚宣三、工藤誠志

 暗い内に、休泊所を出る。昨年は、雪不足のため、ついに一度も大沢に入域できなかった。先週も雪不足で入域できず、やっとの感で心うきうき進む。ダルマ石、ローソク岩を過ぎ、大沢へとトラバースを始める。沢底から右岩稜側に登り、落石を避けながらインゼルへと向かう。2年ぶりの大沢奥壁は、かなり変化しており、第1、2岩稜末端のピナクルの迫力は、なくなってしまった印象がする。右俣に入り、一番狭くなったところが、第3岩稜の末端となっている。その手前の第2、3岩稜間のルンゼに入り、小滝が出ている所から右側の稜に取り付き、稜上に出てアンザレンする。

 小林君トップで登りだす。もろい岩稜を進み、雪面となって40メートルいっぱいで切る。そこは、稜上にある岩壁の基部になっている。3人そろい、そこを右から巻き、岩壁の弱点から稜上に出るが、次の垂直の岩壁に突き当たる。右側は切れ落ちている。左側は楽に第2岩稜との中間のルンゼに雪面でつながっている。小林君が左側の雪面に降り、岩稜の側面のV級の壁から、第3岩稜上の雪面に戻り岩にハーケンを打ち確保体制をとる。後続の二人は、同時登攀で、雪面から側面を登り、稜上の雪面に出て確保点に着く。着いてみると、そこからの雪面は、そびえ立つ雷岩へと続く雪面だった。今回も、その雪面を雷岩まで登りつめる。

 雷岩そのものは登らず、お鉢稜線に出る手前にある横広がりする段差壁の崩れた所から、お鉢直前の緩斜帯に入り、稜線に抜けた。ひとふんばりして、剣が峰まで行き、三角点脇で寝そべって休憩とした。すると、測候所のドームの窓から職員の人が覗いている。騒ぎになるのも申し訳ないので、元気だと手を振り、早々に起き上がって、冬季下降路の仏石沢へと向かった。